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2-2. 100年耐久”断熱住宅”への足ががり

我が国に優れた木造建築物やその建物を作る技術のあった事は、日本人の多くが歴史から学び知っています。そして、生活の中での社会的行事や観光や宿泊等を通じて、500年、600年と使い続けれた神社仏閣や古民家、宿泊施設、個人邸等に実際に触れ、その素晴らしさには例外なく皆が驚嘆します。しかし、現実問題として、生活地域の中においては住宅が次から次へと建て直されていきます。正直な話、私自身も30年ほど前までは日本の一般的な住宅の寿命は30年~40年と考え、そこに疑問もなく当然の事として認識していました。

ところが、昭和47年頃でしたか、”第1次オイルショック”が我が国を襲いました。当時、皆がトイレットペーパーを買いあさる映像がアメリカのTVでも流されていたそうです。そして、その事を契機に、化石燃料への過度の依存に危機感を持った(?)政府は国策として住宅の断熱化を図ったのです。当時の暖房の熱源は主に石油が占めていました。建物の密閉度の低かった当時の住宅では、冬季、暖を得るために石油ストーブを焚き大量の石油を消費していました。一方、当時の夏の暑さはというと、家の中に自然の風を通したり、扇風機の風によって涼をとる程度でしのいでいましたので、現在のようなエアコンによる膨大な電力消費はありませんでした。

この時点から、我が国にそれまで存在しなかった?(もしかしたら、夏向けの高耐久木造建築物を工夫によって完成させていた賢い棟梁達の事だから、その実、断熱住宅の試みもしていたのかも知れません。結果、日本の気候に於いては冬の断熱は建物を腐食させる原因となる事を突き止め、その技術は封印されてしまったのではと妄想しています。)断熱住宅の歴史が始まります。

当初移入された断熱技術は、主に北米で多く作られていた住宅断熱の技術でした。その後をを追いかけるように、同じく北米での住宅工法”プラットフォーム工法”が試験採用されました。そして一定期間をおいた後、オープン工法として認められ我が国の木造住宅の歴史に1ページを刻んだのです。これが、我が国でいうところの”ツウーバイフォー”の住宅です。

私が始めて経験した”ツーバイフォー”住宅は、ある大手ディベロッパーによる分譲住宅の現場でした。私がまだ学生時代の頃で35年ほど前のことでした。当然の事、試験採用の時期だったと思います。確か、外壁は2x4材を骨組に使い、間仕切り材は2x2だったと記憶しています。なんだか手を抜いたような頼りない印象を当時覚えた記憶があります。そしてこの建物には、断熱材として50mm程度のグラスウールが施工されていました。

その後、5~6年を経て、我が国における木造建築物のオープン工法として”壁枠組工法構造基準”が建築基準法上に制定されたと記憶しています。(制定時期は正確なものに読み替えて下さい) 余談になりますが、オープン工法として採用された直後に自宅をこのツーバイフォー工法で建築しました。その経験から建築士資格を取得、その後の建築会社の設立につながり、私にとって非常に感慨深いものがあります。もしこの工法に出会わなかったら、おそらく建築屋にはなっていなかったと思います。又、この時、欧米ではこの住宅が60年~100年ほど使い続けられているという事実を聞き、気候風土の違いも考えず短絡的に、日本の住宅事情を変えられると意気込んだ記憶があります。そういった経緯からも、このツーバイフォー工法で作られた住宅ををより良い、安全なものにしようとして試みた工夫が”RIMCL100”住宅を産むキッカケとなった事も申し添えておきます。

さて、この北米からの一連の技術移入が、我が国の木造住宅建築史において、いい意味でも悪い意味でも大きな影響をもたらしました。

まず、それまでと比較して、省エネルギーで快適な生活が可能となりました。ストーブやコタツの生活からエアコンやファンコイルを使用したクリーンな暖房にかわりました。ほぼ同時に、北米や北欧で住まわれている住宅が”輸入住宅”として紹介されるようになり、それまでの我が国で普及していた洋風住宅の概念を一気に変えることになりました。一般の住宅を設計する建築士たちもそこに学び、欧米の生活を取り入れた住宅空間設計をするようになりました。但し、欧風化された住宅が、一概に良いと申すつもりは毛頭ありません。が、それらの新しい住宅に住まう人たちの生活が活性し、町並みが美しくなった事は事実だと思います。設計者たちの設計技術が洗練されてきたことも事実だと思います。

次に問題の悪い面への影響です。それは、我が国の住宅の耐久性を阻害するかも知れない住宅断熱にあります。移入された北米型の断熱工法は、我が国の地域間格差の大きい気候風土を顧みると、全ての地域で適合するとは言い難いということです。断熱技術の発達した地域では、例えば冬には-10℃、-15℃(もっと低い?)の外気温となり、夏は最高でも20℃程度の外気温にしかならないそうです。しかも湿度は1年中を通して低いそうです。(数値には自信なし)一方、我が国での外気環境はと言いますと、一口では言い切れない地域間格差があります。例えば太平洋沿岸関東以南では、冬は0℃程度、夏は35℃~40℃程度の外気温になります。しかも湿度は、オールシーズンを通して20~100%の間で推移し、外気自体の自然結露現象(霧、露等)も頻繁に発生します。北海道や日本海側地域、高所地域では冬は北欧北米と同様な外気環境になるそうですが、夏は、いわゆる高温、多湿な日本型の気候が多いようです(データーがない為トーンダウン)。

従って、省エネルギーという観点から断熱対策は夏、冬共に必要であり、日本における住宅断熱のあり方は、外気環境の地域差を考慮した地域仕様を設定し、夏の外気環境(温度、湿度)、冬の外気環境(温度、湿度)を踏まえたうえでのものであって然るべきと考えます。又、住宅の耐久性を考えた場合、断熱する事で起こる不都合(例えば結露事故等)が大きな阻害要因となります。今までに住宅断熱による結露事故等は多発しています。多くの企業がその対処工法を模索、様々なシステム機械や安全断熱工法を開発しています。大手企業はともかく、特に中小、零細企業で働く技術者達は、その安全断熱工法を手に入れるため、各種のセミナーや勉強会に奔走しています。しかも決定的な解決策は見つかりません。今や住宅関係者にとって、常に根底で付きまとって離れないストレスになっているのではないかと心配しています。日本の気候を”夏は高温多湿、冬は低温乾燥”と一律に決め付けるのではなく、いつまでもたっても安全が確認されることのない北米型の断熱技術に固執する事を止め、地域地域の気候特性を考慮した日本型の断熱技術を確立する方が、結果として良い結論が早く出るような気がしてなりません。

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