2. 100年耐久住宅、 100年耐久断熱住宅?
”100年住宅”、”200年住宅”、殊更そう呼ばないでも我が国のかつての多くの住宅又は、現在でも作られている一部の建物では、その事は当たり前として捉えられています。今に至っても、日本の各地に75年、100年、中には300年、500年と使い続けられている建物を見ることはそんなに難しい事ではありません。ただ問題は、そうした建物に現代人が住宅としての価値を見出すかどうかという点にあります。
多くの一般庶民に持ち家を、住宅供給者は勿論、関連商品を扱う様々な企業に需要をもたらした住宅金融公庫の果たした役割は、非常に大きなものであった事は異論のない事であると思います。そして、その貸付制度の中で、省エネルギー性能や高耐久仕様を設定し割り増し融資を実行、住宅の性能や品質の向上にもそれなりの役割を果たしてきました。又、当時の住宅の性能及び技術基準として、消費者供給者ともども、公庫仕様が一つの指標となっていた事を思い出します。
その高耐久を呼び声に、只今では多くの住宅供給者が、”100年住宅”、”200年住宅”を標榜するようになり、具体的な耐久年数を掲げるようになりました。但し、その中身が、”100年耐久を目指す住宅”なのか、耐久性確保に裏づけのある”100年住宅”なのかは、いま一つ定かではないのが残念な気がいたします。
一番危惧する事は、長期耐用に不可欠な、構造の耐久性が確保されているかどうかという点にあります。現在多くの住宅に採用されている断熱工法は、構造を取り巻く換気環境の確保という面から見て、その阻害要因となっている疑いがあります。又、断熱材の吸湿性、結露やカビの誘発性もあります。躯体内結露等の大きな断熱事故については対処工法もさまざま開発され、大分減ってきたとは思いますがまだまだ根絶されるまでにはいたっていないようです。
その上、現在の断熱住宅の抱える厄介な問題は、様々なテクノロジーを駆使する事で成立している側面があるという点です。それも、各社各様、必要な技術ではあるのでしょうが、営業上の差別化技術?として次々にしかも目先の開発がなされています。20年後、これらのシステムはどうなるのでしょう?20年後、施工会社がなくなってしまったら誰がメンテナンスするのでしょう?かつての我が国の100年住宅が、近所の大工さん、職人さんによってメンテナンスされて耐用期間を永らえてきた事実を考えると一抹の危惧を禁じ得ません。
又、100年スパンで住宅の使用を考えますとその他にも考慮しなければならない事がたくさんあります。身近なところでは世代の交代、生活慣習の変化、自然現象としての地震や気候の変化等、物理的な耐久性は勿論の事、生活のソフトへの普遍性への配慮も大事な要因になってきます。
100年住宅の普及を契機に、我が国の住宅の在り方(生産供給システム、住宅そのものの品質、住まい方等)を設計者、生産者、消費者共に考え直す時期がきているのではないかという気が致します。競争原理に支配されて作られている現代の住宅、”いい家”(即ち長く使える家?)を作る前に消費者の獲得競争に多くのエネルギーが費やされ、肝心の家作りのエネルギーが残るのかなと心配しています。
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